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歯ブラシって、そんなに奥深いの!? ― 歯科衛生専門学校の眞田先生とめぐる「歯ブラシの知られざる世界」

木の枝で歯磨き!? 歯ブラシのルーツは「紀元前」

M子
眞田先生、今日はね、私がずっと気になっていた“歯ブラシの世界”を深掘りしていきたいのよ。毎日、無意識にシャカシャカやってるこの歯ブラシ、よく考えたら「いつからあるのよ?」って話じゃない?ってことで、眞田眞田先生に来ていただきました!
眞田先生
よろしくお願いします。
M子
で、早速聞きたいんだけど、私たちが使ってるこの歯ブラシ、ルーツはどこなの?まさか輸入品よね?
眞田先生
いや、そこが面白いんです。実は「木の枝」が歯ブラシの原点なんですよ。
M子
ちょっと待って。木の枝!?え、それってもう、原始人の世界じゃない?
眞田先生
まさにそうです。紀元前の中国で、木の皮を噛んで唾液と混ぜて、歯や口の中を清潔に保っていたんです。マスティックオイルという成分が歯周病に効果があり、今でもこのマスティックエッセンシャルオイルを使用している歯磨剤があり、界面活性剤などのご使用に抵抗のある自然派の方々に根強い人気があります。他にも殺菌や消炎の成分があるものも。
M子
え〜!もうその頃から「口の中をキレイにする」って意識があったのね…。人類、なかなかやるじゃないの。てか、そういう木って今もあるの?
眞田先生
ありますよ。「ミスワク」っていう木が代表的です。中東では今でも使われているくらいです。

豚・馬・狸!?動物の毛で“磨く”縄文歯ブラシ

M子
じゃあ、次の進化系は?
眞田先生
動物の毛ですね。豚とか馬、狸などの毛を使って、歯ブラシ的なものが作られていました。
M子
あ〜もう、出てきたわね……獣毛。でもさ、毛を束ねただけ?それとも、ブラシっぽい形にしてたの?
眞田先生
両方です。木に毛を巻きつけたり、毛を束ねてたわし状にしたり。ブラシというより、掃除道具に近いかもしれません(笑)
M子
たわしで歯を磨くって……ちょっとワイルドすぎない!?それ、どのくらい昔なの?
眞田先生
縄文〜弥生時代です。日本でもこういう文化があったんですよ。
M子
あらやだ、私たちのご先祖様、歯への意識めっちゃ高いじゃないの。
眞田先生
しかも当時の歯ブラシは、使っていると腐ってしまうので、張り替えるタイプだったり、毛だけを何度も刈っては巻きつけて再利用していたんです。
M子
SDGsの先取りじゃない!

魔法の木「ミスワク」と世界の“偶然の発見”

M子
ミスワクって言ってたじゃない?それって世界共通なの?それとも中東だけ?
眞田先生
起源は中東ですが、アジアやアフリカ、ヨーロッパにも広がりました。実際に痛みが取れたという“偶然の効果”から始まり、後に科学的に有効性が証明されたんです。
M子
すごくない!?“効いちゃった”から始まるって、まさに「民間伝承→科学」って流れね。私そういう話、大好物なのよ〜!
眞田先生
実は日本にも、似た成分のある木が自生しているので、日本人も自然にそういう知恵を使っていた可能性はありますね。
M子
で、今の歯ブラシってナイロンとかじゃない?いつから出てきたの?
眞田先生
20世紀に入ってからですね。以前はお鍋でグツグツ煮て消毒していたので、耐熱性が重要でした。そこでナイロンが登場します。
M子
ナイロンってさ、合成繊維の代表格じゃない?でもそのナイロン、今でも使われてるの?
眞田先生
はい。でも現在では「合成材料毛」など新しい素材も使われていて、硬さやコシ、耐久性が改良されています。
M子
なるほどねぇ。歯ブラシ、進化してんのね。
眞田先生
でもまだ、豚毛とか馬毛の歯ブラシを使ってる方もいらっしゃいます。特に80代以上の方には「合成毛はしっくりこない」という方がいて、わざわざ取り寄せている方も。
M子
ええ!?ある意味、職人よね。それって日本製?外国製?
眞田先生
私が確認しているのはアメリカのメーカーです。革製品用ブラシの技術を活かして製造されていて、品質も価格も高めですが根強い人気があります。
M子
確かに……革靴のケアブラシって馬毛だったわ。そういう素材、口に入れても良いって考えると、すごく信頼できるわね。
眞田先生
天然毛は乾燥が命だから、管理をしっかりしないといけませんね。

歯ブラシを知ると、“毎朝の習慣”が変わるかも

M子
今日いろいろ聞いて思ったけど、歯ブラシって私たちの生活にあまりに馴染みすぎてて、考えたことなかったのよね。
眞田先生
でも、それだけに“何を使うか”で健康が変わるんですよ。素材・形・使い方…知識があると、より良い選択ができるんです。
M子
明日の朝から、私、歯ブラシ見る目が変わってそうだわ。“ただ磨くだけ”じゃないのよ、これは人類の叡智の結晶よ!
眞田先生
ぜひ、歯の世界にもっと関心を持ってください!
M子
ありがとう先生!私、次の歯ブラシは豚毛にしようかしら(笑)