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歯ブラシが語りかけてくる夜 ― 知ってた?あなたの口元に潜む、毛と硬さとサイズの深すぎる世界

「硬め」「柔らかめ」はウソだった!?

M子
今日のテーマは…歯ブラシが語る。もうね、だんだん哲学みたいになってきたわよ。最初はただの道具だと思ってたけど、先生?歯ブラシってそんなに喋るものなの?
眞田先生
はい。たとえば「硬さ」。よく「硬め」「普通」「柔らかめ」って書いてあるじゃないですか。
M子
ええ、あれ信じて選んでたけど。
眞田先生
あれ、メーカーによって全然基準が違うんです。
M子
ちょっと待って!?「柔らかめ」が「硬め」のこともあるってこと!?
眞田先生
なので患者さんには触って選ぶようにしてもらっています。
M子
でもさ、わかっててもゴシゴシ磨きたくなるのよ。あれ、気持ちよくて。
眞田先生
わかります(笑)でも実は、力を入れると毛が滑って汚れが落ちないんです。
M子
えぇ!?磨いてるつもりで滑らせてただけなの!?
眞田先生
毛先は“ほうき”と同じです。押しつけるとダメ。軽く当てるのが一番効果的なんですよ。
M子
知らなかった〜!しかも「柔らかめ」だったら、多少力が入っても歯茎を傷つけにくいってわけね。

「子供用=やさしい」は危険信号!?

M子
それにしても、子供の歯ブラシって小さくて可愛いじゃない?柔らかそうに見えるけど……?
眞田先生
実は、子供用の「柔らかめ」は、毛が短い分すごく硬いんです。
M子
あらやだ!うちの甥っ子も歯ブラシ嫌がってたけど、それかも。
眞田先生
あれは“磨く道具”じゃなくて、「習慣付けアイテム」なんです。磨かなくても、食べたら歯ブラシ。とりあえず口に入れるだけでOKです。
M子
ああ……アンパンマンとか描いてあるのって、歯磨きへの第一歩なのね。
眞田先生
仕上げ磨きは、大人用の柔らかい毛の歯ブラシを使ってほしいです。じゃないと「痛い→嫌い→逃亡」の負のループに。
M子
あとよく聞く「ヘッド小さいほうがいい」ってアレ、どうなの?
眞田先生
一長一短です。小さいと小回り効いて細かいところが磨けるけど、一度に磨ける面積が狭いので、回数は増えます。
M子
なるほど。じゃあ、汚れがつきやすい人には大きめの方がいい?
眞田先生
そうです。たとえば、食べ物が残りやすいお子さんや寝たきりの方は、大きくて柔らかい毛でサッと磨くのが有効です。

定期検診では“歯ブラシ持参”が新常識!?

M子
でも、どんなの使えばいいか分からなくなってきたわ。結局、見た目じゃ判断できないでしょ?
眞田先生
だからこそ、定期検診には、今使ってる歯ブラシを持ってきてほしいんです。
M子
えっ?でも私……自分の歯ブラシの名前なんて知らないわよ?
眞田先生
多くの方がそうなんです。問診票にも「使用中の歯ブラシ」って項目があるんですが、わからないって書かれる方が多くて。
M子
私、下手すると自分の歯ブラシがどれか分からなくなるときある(笑)
眞田先生
あるあるですね(笑)でも歯ブラシを見ると分かるんですよ。その人の「力のかけ方」や「磨き癖」まで。
M子
……え?歯ブラシが語るの?
眞田先生
本当に“語る”んです。毛の開き方やダメージの仕方で、口のコンディションまで見えるんですよ。

先生の洗面台には“歯ブラシ8本立ってます”

M子
で、先生はどんな歯ブラシ使ってるんですか?
眞田先生
私の洗面台には7〜8本、立ってます。
M子
えぇ!?それはもう歯ブラシの森じゃないの!
眞田先生
朝用、夜用、体調が悪い時用、仕上げ用、歯間用、実験用など、分けてます。
M子
それもう、歯ブラシオーケストラね。でも……私も1本じゃ足りない気がしてきた。