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柄だけでここまで語れるなんて…… ― 眞田先生とひもとく「歯ブラシ持ち手の世界」

え、持ち手も“機能設計”されてるの!?

M子
今日は、まさかの「歯ブラシの柄」の話よ。毛の話、磨き方の話、そしてついに柄まで来た。柄ってあれでしょ?“棒”じゃないの?
眞田先生
いえいえ、柄にも設計思想が詰まってるんですよ。例えば、素材や断面形状、全部計算されて作られてるんです。
M子
ちょっと待って。もうそれ、工業デザインじゃない。
眞田先生
たとえば、サンスターが出している六角形の柄は、握ったときに手にしっくりくるよう設計されています。力学的にも「テコの原理」が応用されてるそうです。
M子
あのさ、私ふつうに“ギュッ”て握ってるわよ?あれじゃダメなの?
眞田先生
はい、本当は「ペングリップ(鉛筆持ち)」が理想なんです。太いグリップだとどうしても力が入りすぎて、歯茎にダメージを与えやすくなるんです。
M子
やだ〜リズムよく磨いてたら“攻撃”になってたのね…。
眞田先生
そうなんです。ペングリップだと指で力をコントロールできて、繊細な動きが可能になります。
M子
あら、急に“職人の道具”っぽくなってきたわ。

でも“太い柄”にも意味がある

M子
でもね、グリップが太いと持ちやすいのよ、実際。
眞田先生
それはその通りで、高齢者や手先が不自由な方、障がいのある方には太い柄の方が適しています。わざとスポンジを巻いてグリップを太くしたりもします。
M子
なるほど!つまり「誰にとって使いやすいか」が大事なのね。そういえば、たまにあるのよ、平たい柄の歯ブラシ。あれ、ペン持ちには向かないわよね?
眞田先生
そうですね。平たい柄は握り方が制限されるので、細かい動きがしにくいです。その点、丸型や六角形の柄の方がコントロール性が高いので選ばれやすいんです。
M子
しかも売り上げにも出てるって、もう柄にもトレンドがあるのね……。
眞田先生
ええ、売上ランキングでもやはり六角形グリップが人気です。
M子
でも、なんでそんなに細かい操作が必要なの?普通に動かせば良くない?
眞田先生
実は、歯は思ってる以上に曲面だらけなんです。特に奥歯は丸くて、毛先がピンポイントに当たる部分が極端に狭い。
M子
あぁ……わかる。奥歯って磨いてるつもりでも当たってなかったりするのよね。
眞田先生
だからこそ、柄の形状が重要なんです。“コントロールしやすい柄”=“磨ける歯”に直結するんです。