毛の材質は歯ブラシと一緒なの?
- M子
- 歯間ブラシの毛って、歯ブラシの毛と一緒なわけ?
- 眞田先生
- 歯間ブラシの毛は、歯ブラシの毛と一緒の材質です。ナイロンだったり、PBTってこの間ちょっと話したやつとなってるので、ほぼナイロンが多いのかなっていうところです。
- M子
- へぇ〜、つまり“歯ブラシの親戚筋”みたいなものね。じゃああれ、100均で売ってるのも全部一緒なの?
- 眞田先生
- 本当に100均とか、あとドラッグストアですごい安く売ってるものは、このワイヤーがもろくて、毛も材質として丈夫じゃないものを使ってるから、やっぱり安い。安いのはやはり理由があります。
- M子
- でしょうね。世の中そんなに甘くないのよ。
- 眞田先生
- それはもう、典型的な“コスパの落とし穴”ですね。逆に歯科医院で扱ってるものは、1本180円前後するけど、4本入りで700円くらい。高く感じるけど、ワイヤーも強くて毛も長持ちするんです。
- M子
- それは作る側の都合もあるわよね。まあ、そこはビジネスだから。
- 眞田先生
- 一応この事情を説明すると、「ああじゃあ買っていこうかな」って。
- M子
- コスパの問題よね、結局。
- 眞田先生
- そう思ってくれればいいんですけど。
- M子
- ところで、歯間ブラシってメーカーごとにちょっと形が違うじゃない?あれ、気のせい?
- 眞田先生
- 気のせいじゃないです。メーカーによって、角度のつけ方が全然違うんです。特に大手のライオンとかサンスターは、持ちやすさと入れやすさを角度設計で調整しています。たとえば「奥歯にも自然に入る角度」とか、そういう“テコの原理”を応用してるんですよ。
- M子
- すごいわね、なんか家電メーカーの設計思想みたい。歯間ブラシの角度にまでこだわるなんて、もうアートよ。
日本人の歯は特別なの?
- M子
- あのね、先生。さっきISO規格っておっしゃってたじゃない。日本だけがちょっと違うの?日本が独自規格で作ってるってこと?
- 眞田先生
- そうですね。
- M子
- それはやっぱり口の形というか、歯の隙間の問題なわけ?
- 眞田先生
- やっぱり歯の形ですね。
- M子
- 大きさもね、外国の人は大きいって言ってたわよね。
- 眞田先生
- さっき「丸い」「四角い」って言ったんですけど、外国の方は四角い方が多いんです。
- M子
- へえ〜。そういう傾向なのね。
- 眞田先生
- 傾向なんです。海外の方の歯は少し四角くて、全体的に大きい傾向があります。だから歯ブラシもヘッドが大きい。“歯の形に合わせた設計”になっているんです。
- M子
- なるほどねぇ。日本人は細かいところまでこだわるタイプだから、小さくて精密な歯ブラシ文化になるのかしらね。
毛の形状、まさかの3パターン
- M子
- あとさ、毛の形にも種類あるって聞いたんだけど、それも違うの?
- 眞田先生
- はい、歯間ブラシの毛は大きく3タイプです。1つ目が円すい形(先が細くて根本が太い)、2つ目がストレート(まっすぐな棒状)、3つ目が樽型(真ん中がふくらんでる)。
- M子
- 樽型!?なんか急にお酒の香りがしてきたわね。
- 眞田先生
- (笑)実際には「バレル型」と呼ばれてて、これは入口が狭くて中に行くほど太くなる構造。だから歯の中側に溜まった汚れを一気にかき出せるんです。
- M子
- じゃあ何回もガシガシしなくていいの?
- 眞田先生
- 歯間ブラシって、1回いれて抜くだけで実は十分汚れが取れます。
- M子
- えっ?ちょっと待って。ガシガシするものだと思ってたわよ、アタシ。つまり、“一撃必殺型”ってことね。
- 眞田先生
- そうです。フィットしていれば1回通すだけで十分汚れが取れるんですよ。むしろガシガシすると歯ぐきを痛めます。
- M子
- あら、やっちゃってたわアタシ……。「これでもか!」ってくらい往復してた。なんか磨いた気分になりたくて。
- 眞田先生
- わかります(笑)でもそれは、合ってないサイズを使っている可能性もありますね。
- M子
- へえ〜!知らなかったわ。
- 眞田先生
- 特に樽型は本当に効率がいいので、特に高齢者とか、あと歯の隙間がちょっと大きい方とかは、それが適していると言われています。
- M子
- 形は基本的にその3種類は各社、メーカーみんな一緒なの?
- 眞田先生
- バレル型は昔流行ってたんですけど、30年ほど前に一度消えて、最近になって復活しました。「教科書には載ってたのに市場にはなかった」っていう不思議な存在でした。
- M子
- えぇ〜!教科書にだけ残ってた幻の歯間ブラシ!?なんか“伝説のポケモン”みたいね。
ゴムの歯間ブラシに潜む罠
- 眞田先生
- 毛の材質はナイロンとか、化学繊維なんですけど、残念ながら天然毛はなくて。
- M子
- そうよね。最近さ、CMで見る「ゴムの歯間ブラシ」ってあるじゃない?あれ、見た目も柔らかそうで、なんか“優しそう”に見えるのよ
- 眞田先生
- 確かに、あれはインプラント患者さん向けに作られてます。インプラントはチタンだから、金属のワイヤーを使うと表面を傷つけるおそれがあるんです。
- M子
- なるほど、金属NGの人用なのね。じゃあアタシみたいな天然歯の人が使うとどうなるの?
- 眞田先生
- やっぱりナイロンの毛に比べると、どうしても太いので、結構こまめに歯に沿わせて、こう擦っていかないとなかなか取れないんです。
- M子
- へえ。
- 眞田先生
- さらに実はちょっと注意が必要です。ゴムは弾力が強くて、歯ぐきの形を変えてしまうことがあるんです。歯と歯の間って三角形の歯ぐきがあるんですけど、そこが少しずつ下がって隙間が広がることがあるんです。
- M子
- えっ、それ知らなかった!アタシ、ずっと「ゴム=やさしい」って信じてたのに。まさか“優しさが裏目に出るタイプ”だったのね。今日から違うのにしよう。
- 眞田先生
- そうなんです(笑)もちろん正しく使えば問題ないですが、力を入れすぎたり長期間使い続けるのはNGです。
誰に聞けばいいのよ、こういうこと
- M子
- あのね、先生。そういうことを聞きたいのよ、今日。アタシは眞田先生に聞いたからわかるじゃない。一般の人は誰に聞いたらわかるわけ?CMは「これいいですよ」しか言わないし。
- 眞田先生
- これは、歯科衛生士ですね。
- M子
- 歯科衛生士さんはもうみんな知ってるの?
- 眞田先生
- 知っててほしいことではありますね。
- M子
- まあ、常識じゃないけど、要はその、教科書に載ってないわけでしょ?
- 眞田先生
- 教科書にはゴムのデメリット”までは書いてない。一応「ゴムはありますよ、インプラントに適してますよ」ぐらいないので。だからこそ、現場の知識が重要なんです。
- M子
- そうよね。
- 眞田先生
- 確かに、本当はそこで、歯科衛生士がインプラントの患者さんとかと接する中で、そういったところの知識がある、歯科衛生士さんがいてくれればいいんですけど、ちょっと全部が全部、それはなんとも言えないところでもあります。
- M子
- インプラント専門の歯医者さんだったら、そこにいる歯科衛生士さんって、それは、ゴム使ってくださいねって言うじゃない。
- 眞田先生
- そうですね。
- M子
- でも、こういうふうに知らない人は、知らずにゴム使ってるわけじゃない。
- 眞田先生
- そうですね。またCMとかで、良さそうなCMに見えれば。
- M子
- すごい取れそうに見えるわよね、ゴムだから。
- 眞田先生
- そう、見えますよね。
- M子
- そう、なんか、金属の方が刺さって危ないのかなとか思っちゃうのよ。
- 眞田先生
- まして、超合金だったりするから。
- M子
- そうそう。超合金って聞いたら余計にね。
- 眞田先生
- その使い方も、やっぱりルールがあるので、そこをしっかりと正しい使い方っていうのは、やっぱり歯ブラシもそうですけども、何でもこういう用具にはあって。
- M子
- でもインスタの美容歯磨き系アカウントとか、ああいうの信じちゃう人、多いわよ?
- 眞田先生
- そうなんですよ……。でも中には間違った使い方で歯ぐきを傷つけてる人も実際にいます。私たちは、その“跡”を見てすぐ分かります。
- M子
- 歯ぐきに跡が!?もうそれ“磨きすぎタトゥー”じゃないの!
- 眞田先生
- (笑)本当にそんな感じです。だから、正しい道具を、正しい方法で、正しい力加減で使う。それがいちばん大事ですね。
- M子
- やっぱりプロに聞かなきゃダメってことね。ありがとう、先生。勉強になったわ。