フロスの臭いで虫歯を診断する
- M子
- ねえ先生、私、ちょっと告白してもいいかしら?あたしも実際にやってるんだけど、やった後のフロスが引くほど臭くて。
- 眞田先生
- ああ、それ、実はすごく大事なサインなんですよ。
- M子
- サインって……いやいや、ただ臭いだけじゃないの?
- 眞田先生
- 実は、虫歯や歯周病の兆候って、ニオイで分かることが多いんです。歯科医師や歯科衛生士が検診でフロスを使って、ニオイを嗅ぐことも実際あるんですよ。
- M子
- えぇ!?歯科医の先生も?自分のだって臭いのに。
- 眞田先生
- 虫歯の独特な臭いがあるんですよ。ちょっといつもと違う臭いとかがしてると、歯と歯の間、見えないところに虫歯がある可能性がある。
- M子
- へぇー。
- 眞田先生
- そうなんです(笑)。もちろん直接じゃなくて、フロスを使って歯間のニオイを確認するんですけど、「あ、これは何かあるな」って気づくんです。虫歯独特のニオイや、プラークが発酵したようなニオイ、それぞれ違うので。
- M子
- 嗅ぎ分けできるの!?ソムリエなの!?
- 眞田先生
- これはなんで臭いがあるかって、やっぱりここの汚れが残ってるからなんですよ。ここの歯と歯の間の歯垢は24時間でちょっと増えてきて、48時間で倍以上に増えて、72時間で爆発的に増えてくるんですよ。
- M子
- 爆発的って怖いわね。
- 眞田先生
- だから取り残しとかがあると、そこで爆発的に増えてくる。実は増えて歯と歯の間の下のポケットって溝の方にどんどん入って、膜を作って、そこで溜まってるんですよ。
- M子
- へえ。
- 眞田先生
- で、通常しっかり取れてると臭いがしない。もう臭くない。これは毎日やるものなので、1日だとしっかり取れてれば大丈夫ですけど、2日3日とか、たまにやりますっていう人は実はそれだけすごい臭いになると。
- M子
- うわぁ、それ聞いたら、3日に一度しかフロスしてない自分を殴りたい……。
- 眞田先生
- 3日ぶりのフロスがすごく臭うのは、その間にプラークがどんどん溜まって、細菌の温床になっていたということなんです。だから臭い=「そこ、磨けてないよ!」というお知らせなんです。
- M子
- 逆に、毎日やってて臭くなければOKってことね?
- 眞田先生
- はい。正しくフロスして、汚れが取れていれば、臭いはほぼしないはずです。臭いは一つの目安にもなってるので、普通に患者さんの口をやってても、瞬間にやっぱり臭いが上がってくる時がある。そうすると「これは」と思って、ちょっと嗅いでみて「やっぱり」と思って、ちょっと探って虫歯があったりとか。
- M子
- へえ。
- 眞田先生
- あとはすごくそこにポケットを測る機械でやると、すごい深くまで行って炎症がそこにあるよっていうのが分かります。あとは出血がついてくると、ここにたくさん細菌が残ってるよとか。そういう目安になります。
- M子
- すごいわね。虫歯の臭いっていうのが、あるんだ。
- 眞田先生
- あります。何の臭いって言っていいか難しいですね。
- M子
- まあまあそうでしょうね。
フロスは歯間ブラシより優秀
- 眞田先生
- 臭いもすごく重要な、一つの私たちの診断というか、目安になってます。だからすごくフロスって、私は歯間ブラシよりフロスをやっぱりおすすめしたいので、歯間ブラシで届かない、本当に深部のところまで糸は取ってくれる。
- M子
- なるほどね。
- 眞田先生
- さっきも言ったんですけど、歯間ブラシは棒ですけど、糸は基本的に歯の丸みに沿って沿わすことができるので、これ結構歯茎に入れても、特にこういったフロアフロスは歯茎にぐっと押しても痛くない素材になっているので、深くまで入れて、かき出す。反対も沿わせて、かき出すってことができるので、歯垢の除去率が歯間ブラシに比べると、やっぱりフロスの方が高いっていう風に言われています。
- M子
- なるほど。でも操作がね、難しいのよね。
- 眞田先生
- 確かに操作はちょっと難しい。でも慣れてしまえば、歯間ブラシよりも細かいところまでしっかり届くのがフロスです。特にフロアフロスのようなタイプは、歯茎の深くまで優しくフィットして、痛くなくプラークをかき出してくれるんですよ。
- M子
- 痛くないって……あれ、グイグイ押していいの?
- 眞田先生
- 押し方にもコツがあります。歯に沿わせて滑らせるように、左右それぞれの歯のカーブに寄り添う感じで動かすと、しっかり取れます。
- M子
- でもあれ、やって、汚いところまた手に巻いていかなきゃいけないのよね。
- 眞田先生
- それが嫌だっていう患者さんもいて、一個ずつ短いので頑張ってやったりとか、ホルダーにつけてやったりとかっていうような対策があります。
小学生は3、4年生でフロスを習う
- M子
- 小学生には歯磨き教室みたいなので教えたりするじゃない。フロスも教えてるの?
- 眞田先生
- やります。これ3、4年生、中学年の指導要項に入ってるんです。
- M子
- 今はみんなやるのね。
- 眞田先生
- 入ってます、入ってます。小学3〜4年生の歯科保健の指導要領に入ってるんです。ちょうどその時期って、前歯が永久歯に生え変わるタイミングなので、虫歯予防にはフロスが大事なんです。
- M子
- へぇー。ほら、その昔は細いのもあんまりやりすぎると、すきっ歯になるよって言ったじゃない。そんなことはないってことよね?
- 眞田先生
- そんなことは絶対ないです。この歯間ブラシの細いワイヤーで歯を動かす力は残念ながらないので。
- M子
- なるほどね。
和菓子の楊枝で歯を掃除していたおじいちゃん
- 眞田先生
- だからと言って、なんでも良いという訳ではないんですよ。
- M子
- いくらなんでも、そんなに変なものを使ったりはしないわよね?
- 眞田先生
- いや実は、楊枝ならまだいいんですが、楊枝と言っていいのか……、和菓子を食べる時に使うような太いやつ。あれでやってる人がいたんですよ。
- M子
- えぇ!?
- 眞田先生
- 歯科健診で「使ってるの持ってきてください」って言うと…。おじいちゃんが「これ調子いいんだよ」って(笑)
- M子
- あははは。おじいちゃん、豪快ね。
- 眞田先生
- それだと歯茎がダメージ受けて縮まっちゃうんです。歯茎が縮まっちゃうと隙間が空いて見えるので歯が移動したみたいに見えちゃうんで。「隙間空いちゃうよ」は、そこから来てるかもしれませんね。
- M子
- 歯茎も想定してないわよね、和菓子の楊枝なんて。和菓子ですら、うまく切れないもん。太すぎて。
- 眞田先生
- 切れてるというよりも潰れてますもんね。
- M子
- そうそうそう。よかった。3、4年生でやるんだね。和菓子の楊枝はダメだよって。
- 眞田先生
- 和菓子の楊枝はダメだよとはやらないですけどね。でも、小学校に行っても、一人ひとり見てくのが大変なんですね。一人で全クラスを見なきゃいけないって場合だと、もしかしたらフロスは「歯医者さんでやってね」みたいな形で流しといて、他のことやるかもしれないんです。
- M子
- 確かに一人ひとりは大変かもね。
フロスは習慣が大事
- 眞田先生
- 私たちは本当にフロスが大事だと思ってます。小さい頃からの習慣だと思っていて、小学生に頑張って指導するんですけど。
- M子
- なるほどね。
- 眞田先生
- 歯ブラシはなんとなく親がやっているのを見て、子どもも真似してやるけど、フロスは、なかなか子どもの前でやる人がいないみたいで。子どもって、親の姿をよく見てるんですよ。なので、親がフロスをやってると、真似してやりたがるんです。
- M子
- あら、うちも真似する年頃だけど、全然見せてないわ……。
- 眞田先生
- ぜひ、子どもの前で堂々と見せつけてください。フロスも「やるのが当たり前」な光景になれば、大人になっても自然と続くんです。大事なのは「習慣化」です。
- M子
- 歯ブラシだけじゃなくて、フロスも歯磨きの一部って感覚にしなきゃダメね。
- 眞田先生
- その通りです!
フロスはイタリア製が多い謎
- M子
- 昔はフロスなんて家になかったわよね。
- 眞田先生
- そうですよね。日本でもジョンソン&ジョンソンっていうところのフロスがずっとあったんですよ。ここ20年とかじゃないですか。フロスの種類がいろんな各種メーカーから出てきて、歯と歯の間が重要だよって。
- M子
- なんか歯磨き粉が付いてるみたいなやつあるわよね?
- 眞田先生
- ありますね。あれはあんまり意味がない(笑)
- M子
- 意味がない(笑)
- 眞田先生
- リフレッシュ感だけで匂いがすっきりしたみたいな。フレーバー付きとかは若者が手に取りやすかったりするので、導入としてはいいと思うんですけど。
- M子
- なるほど(笑)
- 眞田先生
- このフロアフロスもフッ素付きだったんですけど、なぜかみんなイタリアで作ってるんですよ。
- M子
- えっ、イタリア?
- 眞田先生
- ここが私、まだちょっと突き止められてないところで、なんでイタリアなのか?特定のメーカーが作っているのか?または分散されてるのか?
- M子
- へえ〜。不思議ね。
- 眞田先生
- フレーバー付きのフロスが全部そうなんですよね。
フロス、テープ、ガーゼテープ
- M子
- 例えば歯ブラシの大手さんがフロス作ってるみたいなのもあるわけ?
- 眞田先生
- あります、あります。
- M子
- 日本製だとやっぱり、歯ブラシのメーカーがフロスを?
- 眞田先生
- ライオンさん、サンスターさん、花王さんなんかがつくってます。あとは本当に小さなところも。オシャレフロスは小さなところが多い印象です。
- M子
- ああ、特徴のある、尖った感じの?それは糸も国産というか、日本のメーカー?
- 眞田先生
- あ、残念ながら中国とか韓国とか。結構韓国が多かったり。
- M子
- 韓国はね。歯も意識高いものね。
- 眞田先生
- はい。
- M子
- 糸の素材は何なの?
- 眞田先生
- これはファイバー素材。細かいファイバーを撚っているのが主流で。
- M子
- それはどこも変わらない?
- 眞田先生
- 変わらないです。
- M子
- イタリアなのね、フロス産業。不思議だわ。
- 眞田先生
- そうですね。ジョンソン&ジョンソンはアメリカの企業ですけども。あと、デンタルテープっていうのもあるんですよ。
- M子
- テープって?
- 眞田先生
- 同じ形なんですけどちょっと平べったいんですよここが。
- M子
- きしめんってことなの?
- 眞田先生
- そうです、本当にきしめん。これデンタルテープって呼ばれてるもので、これは歯と歯の間が開いてる人とか、歯が抜けてしまっている人の、抜けてる面のところの掃除に使うものです。
- M子
- へえ。
- 眞田先生
- ガーゼテープっていうのもあって、これも歯と歯の間を掃除するものなんですけど、名前の通りガーゼを細く切ったものです。孤立歯っていって、両隣に歯がなくて一本だけ入ってる状態の歯ですけど、そこを歯ブラシで磨くの大変なんですよ。それを5ミリ幅くらいのガーゼで当てて、ごしごしながら。そういうイメージで。
- M子
- へえー。知らなかったわ、そんなの。
- 眞田先生
- 歯と歯の間を掃除するものは、通常のフロスとテープタイプのものと、ガーゼテープのものと、歯間ブラシと。こういう者たちになります。
- M子
- 者たちね。もはや人なのね。
- 眞田先生
- あと水分を吸ってスポンジになるのもあるし、形態によっても、使う種類を変えていく必要性はどうしても出てきますね。
- M子
- 奥が深いわね、本当に。ありがとう、先生。今日も勉強になったわ。